2010年04月23日
能の藤戸
前回の続き…。能では、平家物語の藤戸からヒントを得て世阿弥が藤戸を書いたといわれています。
ここでは、盛綱が殺した漁師が犠牲となって不条理にも殺されてしまった嘆きを描いています。そして、漁師を手厚く弔うことで恨みも消えて盛綱が救われる物語になっています。
当時の時代背景は、天皇の後継争いや貴族達の権力争いで戦が続き、人々は疲弊していました。また、武士達も戦とはいえ人を殺して手柄を立てるという修羅道にいるわけですから、仏教の教えであるあの世では地獄に落ちることなく極楽浄土へ救われたいと願っていました。
能の「藤戸」のストーリー
児島の地の領主となった盛綱は、殺された漁師の母親からせめて犠牲にされた息子を弔って欲しいと責められ哀願されます。盛綱はこれも前世からの因果だから諦めて不憫だけれど恨みを晴らすように諭します。そして、手厚く管弦講によって弔い、残された妻子も世に立てると約束します。ここでの盛綱も自分の行いが罪深いことだとは思っていません。武士は命のやりとりですから、戦のうえのことだから仕方が無いことだったといいます。やがて、盛綱が弔っていると殺された漁師が亡霊となって登場します。弔ってもらうのは有り難いことだけれど手柄をたてさせてやった恩を仇で返され殺されてしまった妄執は晴れないと盛綱に恨みごとをいいます。とはいいながら、弔いを受けたことでみ仏の仏縁を得たので海の底で悪霊にならずに救われることができたと漁師の亡霊は消えます。ということで能は終わります。 唄浄瑠璃狂言の「藤戸」のことは次回…
ここでは、盛綱が殺した漁師が犠牲となって不条理にも殺されてしまった嘆きを描いています。そして、漁師を手厚く弔うことで恨みも消えて盛綱が救われる物語になっています。
当時の時代背景は、天皇の後継争いや貴族達の権力争いで戦が続き、人々は疲弊していました。また、武士達も戦とはいえ人を殺して手柄を立てるという修羅道にいるわけですから、仏教の教えであるあの世では地獄に落ちることなく極楽浄土へ救われたいと願っていました。
能の「藤戸」のストーリー
児島の地の領主となった盛綱は、殺された漁師の母親からせめて犠牲にされた息子を弔って欲しいと責められ哀願されます。盛綱はこれも前世からの因果だから諦めて不憫だけれど恨みを晴らすように諭します。そして、手厚く管弦講によって弔い、残された妻子も世に立てると約束します。ここでの盛綱も自分の行いが罪深いことだとは思っていません。武士は命のやりとりですから、戦のうえのことだから仕方が無いことだったといいます。やがて、盛綱が弔っていると殺された漁師が亡霊となって登場します。弔ってもらうのは有り難いことだけれど手柄をたてさせてやった恩を仇で返され殺されてしまった妄執は晴れないと盛綱に恨みごとをいいます。とはいいながら、弔いを受けたことでみ仏の仏縁を得たので海の底で悪霊にならずに救われることができたと漁師の亡霊は消えます。ということで能は終わります。 唄浄瑠璃狂言の「藤戸」のことは次回…