2010年09月
2010年09月26日
不景気になると真っ先にカットされるのが文化予算だ。余裕がないという。文化の担い手はほとんどが自由業だが、そうやって文化の担い手が痩せ細るということは新人が育たないということだ。たとえば、素人からプロを目指してプロへの登竜門を手にしたとする。だが、それはあくまでもプロになる資格を得たというだけで、中堅のプロでさえ仕事がないのだから新人はなおさらだ。仕事が無ければ食べていけないからアルバイトをすることになる。で、このまま続けて食べていけるのか、才能が無いのか、それとも評価しない相手が悪いのか、悩みながら脱落していく。才能を育む土壌がなければ才能は育たない。となると、才能を愛でるお客様も当然ながら育たない。文化が衰微した世の中を豊な国といえるのだろうか。
文化で食べていける世の中になったとしたら、みんな、文化を楽しんで人生が豊になると思うのだけれどなぁ。
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文化で食べていける世の中になったとしたら、みんな、文化を楽しんで人生が豊になると思うのだけれどなぁ。
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2010年09月22日
もう九月に入ってしまった。それも中旬が過ぎてしまった。あ〜早い。三月の公演準備と平行して、そろそろ次回公演のことも考えなければならないのだけれど、頭が回らないなぁ。太喜之丞師匠、今度は明るいのにしてよとおっしゃってましたね。いつぞや、寶山先生にも明るいのは書かないのと聞かれたことがありました。まあ、亡霊の悲劇ものばかり書いている私としては、たまには挑戦してみるのもいいかも。とょっと頭をひねってみましょうかねぇ。そういえば、友人の演芸作家の稲田先生はこういうの、お得意なんだよねえ。う〜ん。どうしようかなぁ。今日はぼやいておしまい。あっ、そうそう。昨夜、読了した橋本忍の「複眼の映像」は脚本家のバイブルになりそうな本でした。えっ、ちっとも身についていない、すいません‥へへへ‥頑張ります。
2010年09月14日
今月は面白い。昼の部は人情親子もの「沼津」と「荒川の佐吉」。吉右衛門と仁左衛門の両雄対決に歌六が絡む。「沼津」は、歌六と歌昇が播磨屋に戻った口上狂言だけに役者の気が揃っていて、見せる。義太夫の竹本葵太夫がまたいい。この人は頭ひとつ抜けているように思う。鶴澤寿治郎の三味線もいいので聞き惚れる。そこへ仁左衛門の「荒川の佐吉」でまた泣かせる。歌六は、平作と打って変わって郷右衛門を演じているのだが、同じ役者とは思えないほど貫禄たっぷり。染五郎もよく、段四郎の仁兵衛といい、役者の位が揃ったいい芝居だった。舞踊狂言は藤十郎の「萬歳」と梅玉と魁春の「月宴紅葉繍」。どちらも華やいでいて美しい。世話ものの前と先に王朝風の雅な舞があるのは歌舞伎らしい気がする。秀山祭ならではの豪華な顔ぶれなので毎年観劇しているのだが、今月は出し物も揃っていて面白かった。